ニューノーマル時代ににアートで人をむすぶプロジェクト

レポート

2021.10

みんなの“鑑賞” 1

みんなの“鑑賞”1④――障害者支援事業所いきいき+野原健司と考える 
第4回検討会議

9月16日(木) 第4回検討会議

最後となる検討会議では、プロジェクトメンバーに展覧会の設営に立ち合っていただきました。野原さんの作品を展示すると同時に、それぞれが考えた作品の楽しみ方を、前回の会議で出た意見をもとに確認していきます。

河原﨑さんが考えた「おしゃべりステッカー」は、色や顔の表情を河原﨑さんの意見をもとに改良し、展覧会に来た人が自由に取れるように、台の上に設置しました。

森さんが考えた「感想シェアボード」は、絵の作品の横に置き、今回もメンバーにふせんやシールを使って感想を共有していただき、それをボードに貼りました。

安田さんのベストポジションも決まりました。絵やマスクを展示する高さは、安田さんがベストポジションに座って見たときの視線に合わせて決めました。

メンバー全員で考えた、絵の高さを変えられる壁も完成しました。壁の裏にあるハンドルを回すと、壁が上下に動きます。
壁に作品を固定し、メンバー同士、ハンドルを回す人と作品の高さを見る人に分かれて、絵の高さを調節しながら鑑賞してみました。

「みんなの“鑑賞”1」は、プロジェクトメンバーそれぞれの「こう見たい」を実現することで、「作品の見方に決まりはなくて、それぞれの楽しみ方があっていい」ということを確認するような取り組みになりました。さらにプロジェクトメンバーたちの創意工夫からは、「作品の見方を考えること自体も創造的な試みである」ということも思わされます。
美術館やギャラリーなど、美術作品を鑑賞するほとんどのシチュエーションにおいて、鑑賞者は作品を「受け取る」立場にあります。これに対し、今回の取り組みでは、美術作品を受動的に鑑賞するのではなく、自らの好みに合った方法でアクセスするという、能動的な鑑賞者像を浮かび上がらせることが出来たと考えます。
振り返れば、「自らの好みに合った」というのが大事なポイントだったと思います。「おしゃべりしたい」と考えた河原﨑さん、「感想をシェアしたい」と思った森さん、「自分のベストポジションで見たい」と感じた安田さん。今回の実践を通し、こう振る舞うべきというノーマルに合わせるのではなくて、自らが良いと思える方法でアートと出会える場が生まれたと感じます。
今回生まれたこの場には、様々な立場、考え、趣味の人たちとアートを架橋する、そんな可能性があるのだと思います。この実践が、様々な理由から「自分は美術と縁遠い」と考えている人とアートをむすぶ一歩となっていればと願います。